データ・ドリブン・エコノミー デジタルがすべての企業・産業・社会を変革する

なぜ本書を読みたいのか

Tableauからデータ・ドリブン文化を学び、「データ・ドリブン・エコノミー」という言葉に興味を持ったため
デジタル化の流れとはどういうものなのかを理解したい

データ・ドリブン・エコノミーとは何か

リアルな世界から集めたデータが新たな価値を生み出し、あらゆる企業・産業・社会を変革していく一連の経済活動

「企業がサブスクリプションに乗り出す理由」という章にもあったが、デジタル化に伴い、価値観が変わった。「モノ売り切りモデル」から「リテンションモデル」へのシフト
このあたりの話は切っては切れない話
DXも関連しているのではないか?
ところてん氏のDevOpsの話をみてみたい

本書から何を学んだか

あらゆる産業にデジタルが入り込んでいくことに疑う余地はない。

リアルな世界から集めたデータが新たな価値を生み出し、あらゆる企業・産業・社会を変革していく一連の経済活動
データが起点となってあらゆる領域で価値を生み出していく

ビッグデータだけが重要ではなく、スモールデータで十分な分野もある
e.g. ゴミ回収ボックスにセンサをつけ、ゴミの集積状況を集める
Excelで十分集計できる

データビジネスは、走りながら考える中で生まれてくる

権威と真っ向することになる説が受け入れられなかった
データには真実が隠されている

p47

ウェブからリアルへの主役交代
リアルな世界、わたしたちが実際に生活したり働いたりするフィジカル(物理的)な世界から上がってくるデータ
センサ技術、録画技術の進歩から可能になる

p.56

今までのデジタル化: 効率化
経営者意思決定は、勘と経験に頼っていた
これからのデジタル化: 価値創出

2デジタルが企業に「再定義」を促す

いままでの事業立地だけを見てビジネスを考えていると競争に勝てなくなる
企業がサブスクリプションに乗り出す理由
乗り出さないと生き残れないから
e.g. ミシュラン、BMW、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、現代自動車、トヨタ自動車
本音では本丸の商品が売れなくなるためやりたくはないはず
現在アナログのプロセスで行っている職、人手がかかっている
モノのサービス化が進むとどのような職業が生まれるのか、そこにはどのような人材が必要かを考えるべき

p.114 - 115

ICTによるデジタル化と、モノとモノのネットワーク化が同時に行われることによって、製造業に大きな変革をもたらす動き
meganii.icon強力な政府主導の動き
製造から販売まであらゆるバリューチェーンがインターネットで繋がる
データのやり取りをすることが製造プロセスの中心
リアルタイム性
部品が自ら考えて製造ラインを移動する
工場そのものが製造工程を管理し、監視し、自らが判断、決定できる能力を持つ
「自ら考える工場」

OECDが提唱する「データ価値循環

「OECDビッグデータ白書〜データ駆動型イノベーションが拓く未来社会〜」
世の中にあるアナログプロセスをデジタル化することを「データフィケーション」と呼ぶ
データフィケーションによってデジタル化されたデータが集約されると、結果として大規模な集積を生み出す
ビッグデータは分析されて何らかの解釈を生み出さない限り、役に立たない情報の塊にすぎない
AIや他のソフトウェアやスキルなどをツールとしてデータが分析されて、解釈されると、役に立たなかった情報の塊は「知識ベース」になる
知識ベースは「時間をかけて学習をして蓄積された知識」
単なるデータが知識に変換され、意思決定に活用され、企業の行動に影響を与えるときに初めてエータが価値を持ったといえる
これまでアナログで行ってきたさまざまなプロセスのうち、何をデジタル化すればこのループに載せられるかという視点を持つこと

p.120

p.122

デジタルツインに求められる条件
リアルな世界を忠実に再現できること
リアルな世界にある「現時点」の状態を再現すること
1対1で対応している状態にすること
デジタルツインを有効活用するための3つのフェーズ
リアルな世界のデータを収集し、デジタルの世界に伝達するフェーズ
収集したデータをデジタル世界で分析・予測するフェーズ
デジタルツインによる分析やシミュレーションをリアルな世界で生かすためのフェーズ

p.124

デジタル化の取り組みに壮大さは必要ない

meganii.iconそうだよなぁと思って読んだ
最新技術を使ったものに替えなければデジタル化できないことはない
アナログプロセスをデジタル化するための第一歩はこれまで人手をかけていたところを、人手をかけないようにすること
パトランプを交換することが目的ではなく、赤いランプが回ったときに正確に検出できれば良い
あらゆる産業においてデジタル化を

いかにデータをださせるか?データを出すことで不利益を被る人もいるはず
p131
国が主導してデータをオープンにする
e.g. OBD-2
インセンティブ設計が重要なのではと思った

140

サービス業が価値を生み出すために必要なこと

経済活動を生み出す要素
労働資本の増加によらない生産の増加を表す概念
質的な成長要因
新技術導入、新ビジネスモデル導入、ブランド戦略、革新的経営戦略、知的財産や無形資産の有効活用、業務改善などで引き上げられる

146

新しい体験や今まで気づかなかった顧客価値を提供することで、顧客に「楽しい」「心地よい」「嬉しい」といった感情を呼び起こす発想
社会基盤としてのIT
これまでデータとして集めてこれていなかったもの、工場、社会インフラなどのアナログだった部分をデジタル化することで、新たな価値を生むIT
社会的課題解決
「エクスペリエンスとしてのIT」で培われた技術のうち、全世界の住民が使える有効なものが社会基盤として広がっていく可能性がある
meganii.iconNASAの宇宙開発と日常生活の道具の可能性、F1と自家用車の関係性を想起した

191

データを出す側にインセンティブがない
より質の高いデータを集めるためにはインセンティブの設計も含めて考えなければならない

196

2045年には世界人口の7割が都市で生活

2100年には明治時代後半の水準に戻る
人口減少が及ぼす影響
地域経済規模の縮小
維持困難となる地域社会

RESAS

2015年運用開始
地域経済分析システム

第4章 データ・ドリブン・エコノミーで価値を創出する視点

何をデジタル化するかの視点をもつ
インターネットに
工場単位でクラッキングされたらどうなるか
高度に自動化された工場が暴走する未来は恐ろしい
セキュリティに対する考え方は今後ますます重要になってくる
ゼロデイは防げない

デジタルは収穫逓減ではなく、収穫逓増のモデル
顧客が増えれば増えるほど儲かる

業績の上がっている分野の知を継続して深める
新しい道を進むために知の範囲を広げる

金融業界

RTB (Run the Bank / Run the Business)
CTB(Change the Bank / Change the Business)

デジタル変革の対象となる現業部門は、デジタル化を進めなくても回っていく。わざわざデジタル化に協力しろと言っても、なかなか受け入れてもらえない。協働相手に対する共感で知を共有し、価値創出につなげていくことが必要だ。

一人ひとりが多種多様な組織や人々を結びつけ、巻き込んでいくような自立分散型組織には突破力がある。

デジタル世界の成功法則 Winner takes all
参入は早ければ早い方がよい
エコシステムの構築が1つの鍵

エコシステムの構築
他の関連業界ができればより大きなデジタル化となり新たな価値が生まれやすくなる

ミッシングピースを探せ
e.g. モバイル牛恩恵の場合は、docomoは農業界での影響力は小さく、話を広げられなかった
そこで、JAを巻き込むために説得にいった
単体で頑張っても小さく終わるケースがある。
異業種との連携が必要不可避
仕事が専門家しすぎていて、同じ会社の中でも部署が違うと会話が成り立たない
別の会社同士であればなおさら
大事なのは「アナログの人間力」
デジタル化で必要なのはアナログな人間力ってmeganii.icon
「利他と共感」
野中郁次郎氏がアグリガールを評して言った言葉
利他 自分を犠牲にしてでも他人に利益を与えること
共感 人の考えを自分も同じように感じたり理解したりすること

なぜオープンイノベーションが必要なのか
資本が不要になったこと
顧客のニーズが多様化してきたこと
重視ポイントの変化(性能品質から魅力品質に)
自社の知見だけでは新しい価値を生み出せなくなってきた
IT企業とユーザ企業との協業が増える
IT企業側
デジタルがすべての産業セグメントに入り込む時代はIT企業側はオープンイノベーションをせざるをえない
産業セグメントに関する知識がまったっくないため、それぞれの分野のプロと組んで知を共有しなければ顧客ニーズに答えられない
ユーザ企業
IT企業と組めばデジタル化をスムーズに進めることができる

インベンションとイノベーションの違いを認識する

p.233

技術的なハードルを超えること
顧客や社会のハードルを超えること
ハードルの高さ
昔 インベンション > イノベーション
今 インベンション < イノベーション
技術開発主導での社会変革(リニアモデル)から、社会課題主導での社会変革(スパイラルモデル)への再定義が必要
技術者は意図的にイノベーションに取り組まなければならない

p.237

成功を収めた企業の戦略は、誰かに話したくなるような「ストーリー」として組み立てらている
ストーリーは、顧客価値を生み出せるかどうかにかかってくる
現場に入り込んで顧客のニーズを掘り起こしていかねければならない
現場でのリアルなコミュニケーションの中から、顧客が望む価値を探していく必要がある
技術的にはまったく同じものなのに、説明の仕方を変えるだけで全然違う
技術によって社会を変えたいという強い想いこそがストーリーを生む原動力になる

p.243

デジタル化を進めるときには
PDCAのような計画ありきのサイクルよりも、状況に応じて素早く決定・行動できるOODAループが適している

p.247

これからの技術者にはマーケティング発想が不可欠

ビジネスの目的についての適切な定義は1つしかない。すなわち、顧客の創造である。
賢明なマーケターは、まだ満たされていない隠れたニーズを発見し、これを具体的に定義できる存在である
顧客のジョブに焦点を当てることで、新たなニーズ、イノベーションシーズが見えてくる
(ジョブとは、顧客が処理しなければならない作業や、解決しなければならない課題のこと)
ビジネスは新しい顧客の創造
技術者とマーケターの発想の違い
技術者
「技術」を起点にして発想
「その商品を開発するのにいくらかかるか?」
「その技術は保護されているか?」
マーケター
「顧客」を起点にして発想
「その商品はいくらで売れるか?」
「その商品はどれくらいの期間、競争優位を保てるか?」
ライフストローのビジネスモデル
要はどこからお金をとるか?ピクト図解で考えると良さそう
配布した人からはお金を取らず、二酸化炭素の排出権という別のところからお金を回収するビジネスモデル

p.283

日本は地味で泥臭いデジタルに向いている
デジタル化に不可欠なオープンイノベーションにしても、相手を敬う「義の精神」「利他の精神」
人口減のため、新技術導入で、職が奪われるという抵抗勢力と争う必要がない
meganii.iconこれは、日本再興戦略落合陽一)で言っていた


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